下血、吐き気・もたれ、体重減少

1. 下血

日常診療において、便潜血を含む下血は、しばしば遭遇する症状です。このありふれた症状を糸口として大腸疾患の診断を行っています。
真っ赤な鮮血の場合は、痔疾患のことが多いようですが、時々、大腸がんや直腸がんも見つかります。当院では前日の前処置なしで、浣腸のみの前処置で肛門に近い大腸(S状結腸と直腸)の検査を行っています。すぐに結果もわかり、肛門疾患からの出血であれば、軟膏の処方もすぐにできます。
便通異常(便が細くなった、便の出が悪くなったなど)を伴った血便であれば、大腸がんの可能性が高くなりますので、早めの検査をお勧めします。
若い年齢層の方で、粘液が混ざった血便(トマトケチャプ状)の場合は、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)の可能性がありますので、早めの検査をお勧めします。

2. はきけ・もたれ

はきけやもたれ感も、日常の診療において、しばしば遭遇する症状です。診断のためには問診(質問)が大切になります。女性であれば最後の生理の日がいつか?、腹痛や頭痛などの他の症状を伴っていないか?、めまいなどの症状を伴っていないか?などは必ず確認するようにしています。
頭痛を伴っていれば脳の検査が必要になります。腹痛を伴っていれば腹部レントゲン、腹部エコー、胃内視鏡検査を優先します。めまいを伴っていれば、耳鼻科的な精査が必要になります。
日常診療において私の印象ですが、はきけ、もたれだけの症状であれば、胃内視鏡検査を行っても、異常が見つからないことも多いようです。器質的な異常(みための異常)が見つからない場合は、機能的な異常(はたらきの異常)が原因となります。ストレスなどの要因から、胃の蠕動運動が障害されて、吐き気やもたれが生じます。このような病態は機能性ディスペプシアと呼ばれています。

当院では、胃の蠕動を高める薬を処方したり、漢方薬がより有効であると判断すれば漢方薬を処方しています。当院では、専門医ならではのきめの細かい診断と正確な診断に基づいた治療を行っています。

3. 体重減少

急激な体重減少は悪性腫瘍(がん)の存在を疑うひとつの症状ですが、他のたくさんの病気の存在を疑わなければなりません。特に大切なのが、糖尿病とホルモンバランスの異常です。
糖尿病は、多飲、多尿、口渇を伴うことが多いです。そのまま放置していると眼や腎臓に重篤な合併症をきたすことがあります。
ホルモンバランスと体重減少で関連深いのが甲状腺機能亢進症です。眼球突出や頻脈を伴うことがあります。このような随伴症状がない場合には、悪性腫瘍の存在を疑い、消化管を中心とした精密検査が必要です。

当院では、最新のデジタルハイビジョン映像の内視鏡検査を行っています。胃や大腸の微小な病変も見逃さないように、注意深い観察を心がけております。